【小学生の子ども向け】子どもにも睡眠不足は大敵!記憶力をよくする生活習慣

東北大学は、子どもの睡眠時間が短いと海馬が発達しにくくなるという研究結果を発表しました。海馬は、脳において記憶力や認知力を司る重要な部分ですが、発達していないとどのような影響があるのでしょうか?発表されたデータについて、また睡眠時間の大切さについてまとめました。

記憶力をつかさどる海馬は眠って育てる?

東北大学加齢医学研究所(以下東北大学)は、睡眠時間が長い子どもの方が短い子どもよりも海馬の体積が大きいことを明らかにしました。これは「健常小児における海馬体積と睡眠時間の相関(
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)」と題した調査・研究によるものです。

海馬体積と睡眠時間について調査するこの研究は、健康な5〜18歳290人を対象に実施されました。睡眠時間と脳形態の関連について脳MRIを使って調査し、その相関関係をチェックしたものです。

この調査では、平日の睡眠時間が300分(5時間)の小児よりも、500分(8時間20分)、600分(10時間)の小児の方が、左海馬、右海馬ともに局所灰白質量が多いことが分かりました。灰白質とは、ニューロンと呼ばれる神経細胞が集まる領域のことです。脳科学では、脳のはたらきが活発で記憶力が発達している人ほどこの灰白質が多いとされています。睡眠が不充分だと海馬でのニューロンの新生と分化が抑制されてしまい、灰白質を増やすことができません。

睡眠不足だと記憶力はどうなるの?


では、睡眠が不足した子どもの脳はどのような状態になるのでしょうか。

海馬は脳の一部分で、記憶力や空間学習能力に関係する部分です。海馬の神経細胞は継続的な心的ストレスによって破壊されるという性質があり、PTSD(心的外傷後ストレス)やうつ病といった病気にかかると海馬が小さくなることが分かっています。「心の問題」、「気の持ちよう」といわれがちなうつ病。しかし実際はポジティブ思考になれば治るものではなく、ストレスなどの要因によって海馬が変質してしまう病気です。
アルツハイマー病も、海馬に影響を与える病気です。海馬が変質することによって、物事を忘れやすくなる、記憶が保てなくなるといった症状があらわれます。

これらのことから、海馬は人間の記憶や認知にとって重要な器官であることが分かります。健康な子どもであっても、海馬が充分に発達しないと記憶力は育まれにくく、ひいては勉強の成果もあらわれにくくなる可能性があります。

宿題が終わらない!と、睡眠時間を削ってやらせていると、かえって子どもの脳のはたらきを抑制する学習方法といえるかもしれません。「眠くない」「徹夜しても平気」という子もいますが、睡眠不足の自覚がないだけです。寝不足であることを自覚しないまま通学して授業中に寝てしまったり、注意力が散漫になってしまったりという事態を引き起こしかねません。
「寝る子は育つ」ということわざがありますが、この言葉通り、記憶や認知を司る海馬は眠っている間に発達すると覚えておきましょう。

記憶力を高める睡眠を習慣づけよう


東北大学は子どもの時の規則正しい生活と充分な睡眠時間が、脳の発達やその後の病気のリスクを下げる上で重要であると発表しています。

動物実験においても、睡眠不足に陥ると海馬の体積が減少することは知られていました。そして人間も慢性的な睡眠不足の状態に陥ると、海馬が減少します。さらに、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などを伴う危険もあることが分かっています。
ちなみに、大人の体になってからの必要な睡眠時間には個人差があります。一方、子どもの間は大人のような個人差はありません。どんな子どもも、記憶力を向上させるためには睡眠を長くとることが必要です。成長してからのさまざまな病気を回避する上でも、小さなうちからきちんと眠ることを習慣づけましょう。

灰白質が多いというデータが出たのは、500〜600分(8〜10時間)程度の睡眠をとっている小児でした。学校のある平日にこれだけの睡眠時間を確保するためには、起きる時間から逆算して21時前後には眠る必要がある家庭がほとんどではないでしょうか。眠る時間を確保するためには、就寝時間からの逆算がオススメです。宿題は何時までに終わらせる、食事は何時頃でゲームは何時まで、と決めていきましょう。

記憶力が高い子どもはこれがすごい!


記憶力や認知力が向上すると、学習効果が得やすくなります。さらに、日常生活のさまざまな場面でもメリットがあります。たとえば、忘れ物をしにくくなる、明日の持ち物や洋服の用意をできるなど。さらに、習い事のスケジュール管理が自分でできるようになるかもしれません。生活に関わる重要事項を、自分自身で管理できるようになると期待できます。

授業の用意に慣れていない低学年のうちは、親御さんが忘れ物を学校へ届ける光景も微笑ましいものです。しかしながら、忘れ物が多いのは好ましいことではありません。学校の方針にもよりますが、6年生になると中学校へ進学する準備として忘れ物について厳しい態度をとる先生も増えてきます。成長してから親子で困らないよう、脳の発達を促す睡眠時間を確保できる規則正しい生活を習慣づけていきましょう。

記憶力を高めて自己肯定感を得られる子どもに

充分な睡眠によって海馬の発達を促すと、記憶力の向上が期待できます。
睡眠不足を実感しているご家庭は、平日のスケジュールについて親子でチェックしてみてはいかがでしょうか。